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Final Cut Proに持ち込む静止画素材のサイズ
(SDビデオの場合)
2004.07.23初稿
2004.07.24改訂
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2D/3Dソフトで作成したCG画像を素材として利用することも多いでしょう。その際の静止画ファイルは、どんなサイズで作ってDTVソフトに持ち込めばよいのでしょうか。

前項で、おおざっぱな背景を説明しておりますので、ご参照頂くとして、教科書的には、

D1 NTSC(フレームサイズ720×486)の場合、720×540の静止画、

DV NTSC(フレームサイズ720×480)の場合、720×534の静止画、

となっています。

この記事では、DV NTSC(教科書的には720×534が推奨されていますが)の際に、最適な静止画サイズはなにか、Final Cut Proを例に検証しています。

実験方法

Photoshopで横720ピクセルのキャンバスを用意し、高さ1ピクセル・幅720ピクセルの水平な線で3色に塗り分けた画像を作ります。
1ライン目を赤、2ライン目を青、3ライン目を緑の線で描き、以下、4ライン目を赤、5ライン目を青、6ライン目を緑...というような規則で、キャンバスを3色に塗り分けてゆき、縦480ライン目/縦534ライン目/縦540ライン目まで続けます。こうして作った3種類の静止画、720×480、720×534、720×540を今回の評価対象とします。

これら3種類の静止画素材をFinal Cut Proのタイムライン(シーケンスの設定は[DV NTSC])へ読み込み、DV CodecのQuickTimeムービーに書き出した後、これらの静止画から生成されたフレームを比較・評価しました。

結果と考察

結果は、下図のとおりです。

下図は、それぞれのフレームを400%に拡大し、上端から60ライン目までを掲載しました。

720×480の素材
720×534の素材
720×540の素材

まず、720×480静止画素材の場合、DVフレームとサイズが一緒ですので、縦方向への縮小は起こり得ません。そのため、3色のラインはあざやかなままです(当たり前ですが)。
しかしながら、720×534や720×540静止画素材の場合は、縦方向への縮小処理を行いますので、どうしても、縦方向に色がにじみます。これは、原理的に致し方ないことではあります。

720×540静止画素材の場合は、縦540を480へと縮小しますので、9ラインを8ラインへ縮小することになります。つまり、9ラインごとに1ラインずつ削減されます。
720×480画像で赤青緑3サイクル(計9ライン)するごとに、720×540画像では1ラインずつずれてゆく(減ってゆく)のがわかります。また、残りの8ラインに元々の9ライン分の情報をぎゅっと詰めるのですから、色が混じるのは原理的に仕方のないことでしょう。

一方、720×534静止画素材の場合は、縦534を480へと縮小する...はずなのですが、Final Cut Proではちょっと変わった処理を行うようです。
すなわち、DVフレーム縦480ラインのうち上下3ラインずつは使わず、残りの474ラインに、静止画の534ラインを割り当てるといった処理を行っています。

上下3ラインずつの部分は、Final Cut Pro上ではすきま(透明。背景のチェッカーボード模様が見えます)、

レンダリングすると黒に塗りつぶされます。

上下6ラインのすきま 720×534静止画像利用時の「上下計6ライン分のすきま」

720×534静止画素材の場合の場合の割り当て方は、9ラインを8ラインへ縮小、つまり、9ラインごとに1ラインずつ削減されています。この割り当て方自体は、720×540静止画素材のときと同様の処理なので、色のにじみ方、にじみの周期なども720×540静止画素材のときと完全に一致しています。

つまり、720×540静止画を素材とした時でも、720×534静止画素材の時でも、画質は同等、といえます。

さて、では、DV編集の場合、持ち込む静止画素材のサイズは、720×480、720×534、720×540のいずれが良いのでしょうか。

もし、お使いの2D/3D CGソフトに矩形ピクセル機能が搭載されているなら、この実験からわかるように、720×480にすべきであることは明らかです。縦方向への色のにじみは原理的に起きえないのですから。

しかし、2D/3D CGソフトに矩形ピクセル機能が搭載されておらず、方形ピクセルで作業せざるを得ないときもあるでしょう。この場合、720×534と720×540のどちらが良いか、といいますと。

教科書的には、DV NTSCの場合は720×534、とされています。
しかし、Final Cut Proに限って言うと、そうとも言い切れないようです。

画質の面からは、結果が示すとおり、720×534と720×540とでは、上下端部分を除き、両者とも全く同じ画質でした。また、720×534の場合、上下計6ピクセル分の隙間が出来るとはいっても、どっちみちNTSC安全域の外側ですから、TV再生では映る範囲ではありません。
このように、画質の面からは、どちらでもよい、といえそうです。

また、縦横比の厳密さ、という観点を考えると、本来なら、縦534を480に縮小してこそ、厳密な縦横比の維持が確保できるわけで、Final Cut Proではそれが出来ていない以上、縦540を480にしようと、縦534を474にしようと、両者とも(どのみち縦534を480縮小でないのだから)「厳密な意味で」縦横比の維持が確保できているわけではありません。縦横比の厳密さを追求してゆくと、どっちもどっち、という結論になってしまいます。

もちろん、実際上、そんな厳密さを要求する意味も無いと思いますし。その意味でも、どっちでも良い訳です。

ということで、Final Cut Proに限って言うと、720×534と720×540のどちらでも一緒、といえましょう。

なお、運用上は、720×534で上下に隙間が出来るのは面倒だ、という考え方もありましょう。
例えば、TV再生する場合には隙間部分は見えないから容認できるのですが、でも、例えば最終作品をQuickTimeムービーでMac上で再生する場合には、隙間部分が黒い帯状に見えてしまいます。

こんなことを考えると、私としては、720×540をお勧めしておきたいところです。

 

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