MacDTV.com

iDVD 2
DVD Studio Proとモーションメニュー対決

2001.11.05初稿
2001.12.20改訂

 


iDVD 2のモーションメニューとおなじものをDVD Studio Proを使って作ってみよう、というこの記事。DVD-Video作成の全容を説明しないことには、iDVD 2のモーション機能のすばらしさが伝わらない、と思って(笑)。

 

MacDTV.comトップページ

 MacDTV.com情報ひろば

  Mac de 映像円盤制作

   iDVD 2

    DVD Studio Proとモーションメニュー対決

 


iDVD-Videoのモーションメニューとは、こんな仕組みになっています。

バックグラウンドにMPEG2ビデオが再生(大抵はループ再生)されています。その上に、別ビデオにリンクするためのボタンのような領域があって、そこを選択すると、別ビデオにジャンプする、といった仕組みです。DVD-Videoの(静止画)メニューも、静止画がバックグラウンドに張り付けてあるだけで、他はおんなじです。

かんじんな点は、モーションメニューは単一のMPEG2ビデオで構成されているということです。バックグラウンドムービーが流れ、その上に、いくつかのメニュー選択用ムービーが流れているように見えますが、実は、全面(720×480)が一つのムービーなのであって、複数の小ムービーが埋め込まれている、といったわけではありません。ここがポイントです。

まず、iDVD 2での操作を見ていただきましょう。

iDVD 2の場合、バックグラウンド用のムービー・オーディオを[カスタマイズ]タブの[背景]欄にドラッグ&ドロップし、

メニュー用のムービーをメインウインドウにドラッグ&ドロップするだけです。
そしたら、上で述べた単一のMPEG2ビデオを、iDVD 2が自動生成してくれる訳ですね。非常に、シンプル、且つ直感的な操作といえます。

ところが、DVD Studio Proを使う場合、オーソドックスに(ある意味で手間の掛かることを)行わなくてはなりません。しかも、その操作は、DVD Studio Proだけでは済まず、その前の段階としてFina Cut ProといったDTV編集ソフトにまで立ち返る必要があるんです。


では、早速、おおまかな手順を示します。

あらかじめ準備する素材 いずれのケースでもあらかじめ、バックグラウンド用のムービー、モーションメニュー用のムービー2つ、メニューを選択したあと表示が切り替わる本編ムービー2つは、すでに完成しているものとします。

iDVD 2の場合、iMovie 2でこれらの素材を準備するケースが多いでしょうね。

   

iDVD 2の場合

iDVD 2の場合、すでに説明したとおり、バックグラウンド用のムービーをテーマにドラッグ&ドロップし、メニュー用のムービーをメインウインドウにドラッグ&ドロップするだけです。
上図を見ていただくとわかるとおり、メニューボタンにはフィルム風かざりの付きのタイプを選んでいます。あとは、DVD作成ボタンを押すだけの操作でDVD-Videoが完成です。

完成したDVD-Videoでは、メニュー画面が2つの動画が選べ、選択・実行すると本編の動画が再生され、再生終了するとこのメニュー画面に戻ってくる、こういった動作をします。

   

Final Cut Pro + DVD Studio Proの場合

Final Cut ProとDVD Studio Proを組み合わせる場合、おおまかな流れは次の通りです。
Final Cut Proではモーションメニュー用ムービーを作成し、MPEG2書き出しするところまでの作業を担当します。その後、DVD Studio Proでは、MPEG2ビデオや音声を配置し、モーションメニュー用にホットスポット(この範囲をクリックすると別ムービーにジャンプする)を指定し、リンク関係(どのメニューを選択するとどのメニューにジャンプするか)を指定します。DVD-R焼きだしすることもDVD Studio Proの仕事ですが、iDVD 2と異なりDVD Studio Proでは、DVD-Rへ直接書き出すやり方の他、イメージファイル書き出しも可能なので、Toast 5 Titaniumを使って、DVD-RWメディアに書き出すことも可能ですし、業務用途で工場に持ち込むためのDLTテープへの書き出しにも対応しています。この辺が、Proたるゆえんです。

   

1. Final Cut Proでの作業

1.1. モーションメニュー用ムービーの合成作業

Final Cut Pro上では、バックグラウンド用のムービー

の上に、メニュー部用のムービーをふたつ配置し、サイズを縮小します。

約20%程度の縮小が、iDVD 2とほぼ同サイズになります。

Final Cut Proを使うメリットとしては、この段階でのムービーのサイズが自由自在なこと、あるいは、ムービーを傾けたり変形させたりする事もできる点が上げられます。

ただし、DVD Studio Pro上でのホットスポットは長方形しか選べませんので、あまり妙な形にはしないように(笑)。

その上に、タイトルのレイヤー、フィルム風ボタン飾りをオーバーレイします。

タイトルは、アウトラインテキストを使用していますので、文字色・縁取り色などは自由自在に選べます。

フィルム風ボタン飾りは、iDVD 2アプリケーション(アプリケーションパッケージ)の中にあるFilmStrip.Shape.tiffファイルをそのまま利用しています。

これらの画面をすべて重ね合わせて表示すると、ほら、こんなかんじ。

モーションメニュー風の15秒間のムービーができあがります。Final Cut Proのタイムラインウインドウはこんなかんじになっています。

Final Cut ProのタイムラインウインドウのオーディオトラックにBGMを配置します。

Final Cut Proのタイムラインウインドウのビデオトラックに配置したムービーは、前後にずらす(リップル、ロールなど)ことも容易なので、本編ムービーのうち「どの15秒間のシーン」をモーションメニューで表示させるか、といったことも自由にできます。

iDVD 2ではそうはいきません。メニューボタン内のムービーは、位置をスライダーバーで変更する事が可能(ただし、おおさっぱな位置しかわからない)ですが、バックグラウンドムービーについては、いやおうなく冒頭部分から指定時間分(最大30秒間)が自動的に表示されてしまうので、変更の余地はありません。

    

 

1.2. モーションメニューMPEGビデオ、および、本編MPEGビデオの書き出し

モーションメニュー用ムービーの合成作業が終了したら、素材のMPEG2書き出しを実行します。

DVD Studio Proをインストールすると、[機能拡張]フォルダの[QuickTime Extensions]フォルダにQuickTime MPEG Encoderがインストールされ、Final Cut Proや他のQuickTime対応アプリケーションのQuickTime書き出し機能が拡張され、MPEG2書き出しができるようになります。

素材ムービーひとつひとつを、いちいち、Final Cut Proの[ファイル]→[書き出し]→[QuickTime]で[MPEG書き出し]を実行してもよいのですが、複数の素材を一気にMPEG書き出しするのですから、[ファイル]→[バッチ書き出し]を選びましょう。

書き出しキューウインドウにすべての素材を配置したら、

書き出し設定を行います。[設定]ボタンを押し、

[オプション]ボタンを押して、MPEG書き出しのオプションを設定します。

ここでは、転送レートは7.5Mbps(iDVD 2の60分モードとほぼ同じ)にセットしておくことにしましょう。

QuickTime MPEG Encoderの場合、MPEG転送レートが自由に設定できるところがメリットでしょうね。iDVD 2の場合、60分モードでは7Mbps後半、90分モードでは4Mbps後半と固定されているので、ユーザが任意に変えることができません。

バッチ書き出しを実行すれば、あとは、素材がMPEGビデオ、オーディオ(.aiff)に変換されるのを待つだけです。

   

   

2. DVD Studio Proでの作業

2.1. オーサリング

MPEG素材ができたら、次はDVD Studio Proの出番です。まず、モーションメニュー素材を配置し、ボタンを2つ用意し、ホットスポットを指定します。

ボタンからのリンク先を指定し、本編ムービーが再生が終了すると、モーションメニューに戻ってくるように設定しときます。

これで、iDVD2と同様の動作をするメニューの作成が終わりました。

オーサリングが終了した画面がこちらです。オーサリングといっても、そんなに難しいことをするわけではありませんよね。

DVD Studio Proの場合、これらのリンク関係がグラフィカルに表示されますので、一目瞭然で作品全体の見渡しが利く、という点は魅力ですね。また、いうまでもなく、(iDVD 2のは真似できないような)詳細なオーサリング設定も魅力です。

また、iDVD 2にあればいいのになあ、と思う機能に、チャプターマーカーがあります。チャプターマーカは、本編ムービーのシーンが切り替わるシーンなどにマークを付けておくことで、リモコンボタンを押すとそのマーク位置にジャンプする、といった気の利いた機能です(音楽CDのIndexのようなもの)。この辺りは、DVD Studio Proの本領発揮です。

2.2. DVD-R焼きだし

DVD Studio Proからは、[File]メニューの[Build & Format Disk... ]を実行すれば、DVD-Rドライブに書き出すことができます。

iDVD 2の場合SuperDriveにしか対応していませんが、DVD Studio Proの場合多くのDVD-Rドライブへの焼き出しに対応しています。特に、SuperDriveはDVD-R for Genaralしか使えませんので、業務用に使用されるDVD-R for Authoringへの焼きだしをするにはDVD Studio Proは必須です。

DVD Studio Proは直接DVD-R焼きだしの他、一旦、イメージファイルに書き出すことで、DVD-RWやDVD-RAM、DLTテープでの利用も可能です。

そこで、ここでは、SuperDriveを使ってDVD-RWに焼きだしてみましょう。DVD-RWは書き換え可能なので、試しに作ったデータをDVD-RWに焼きだしてDVD-RW対応DVDプレーヤで動作チェック、だめなら、編集後もう一度書き出し、といった具合に、高価なDVD-Rを試し焼きで無駄にしません。

DVD Studio Proの[File]メニューの[Build Disk... ]を実行し、[VIDEO_TS]フォルダをHDD内に書き出します。そして、これをToast 5 Titaniumで読み込みます。

DVD-RWディスクをSuperDriveにセットし、[書き込み]ボタンを押せば、DVD-RW Videoが完成です。

完成したDVD-RWは、SuperDrive+Apple DVD Playerはもちろんですが、家庭用のDVD-RW対応DVDプレーヤもかかります。DVD-RW対応DVDプレーヤは、開発元であるパイオニア社製品が多いですが、店頭で試したところ、最近のシャープやPanasonic製品もかかるようです(パイオニア社サイトのここに互換性情報があります)。Apple DVD Player for Mac OS 9では、VIDEO_TSを開くコマンドを利用しないとならないようですが、Apple DVD Player for Mac OS Xでは、DVD-RWディスクを挿入するとDVD-Videoと思って認識してくれるようです。

この辺り、iDVD 2には真似できないところでしょうか。


 

以上、iDVD 2のモーションメニューとおなじものをDVD Studio Proを使って作ってみよう、という企画。

iDVD 2のモーションメニューは良くできていることがおわかりになったと思います。

iMovieのときも、DTVのいろんな作業・必要な機能のうち、真に必要な部分だけをうまくまとめてありました。iDVD 2でも同じことが当てはまります。DVD-Videoオーサリング+焼きだしのために真に必要な部分だけを取り出して、シンプルに、直感的操作にまとめ上げたのは、非常に評価の高いポイントです。

一方で、Final Cut Pro + DVD Studio Proに比べると、細かい部分の設定ができない、といった点があるのは当たり前のことです。わたしが思うに、iDVD 2に搭載されるすべき機能は、チャプターマーカくらいで、完成度高く、必要充分な機能がそろっているといえそうです。

    

    

MacDTV.com
  

Copyright(C) Yasushi SATO 
All Right Reserved.   

MacDTV.comトップページ

 MacDTV.com情報ひろば

  Mac de 映像円盤制作

   iDVD 2

    DVD Studio Proとモーションメニュー対決