2006.03.15 情報漏えいを防ぐ最も確実な対策はWinnyを使わないこと?!

カテゴリ [ 今日のなんだかなあ ]


阿部官房長官が、Winnyを使わないことを国民に呼びかけた、とのこと。(ITPro 2006.03.15付記事[「最も確実な情報漏えい対策は『Winnyを使わないこと』」,安倍官房長官 ])

一国の官房長官が呼びかけるって大変なことなので、政府としても深刻に受け止めている(ポーズ)ということなのでしょうが、でも、いろんな点で、変な話しですねえ。

「Winny経由での情報漏えいを防ぐ最も確実な対策は,Winnyを使わないこと」って、なんじゃそら??。そりゃまあ、そうだけど(笑)。
というか、論理学でいう同義反復(トートロジー)なので、このセンテンスは論理的に全く意味がないことを言っています。だって「自動車事故を防ぐには、自動車を使わないこと」って言ってるのと同じですもん。

すでにいろんなblogでもふれられているように、あるいは、[ Winnyは悪くない、悪いのはウイルスであり、感染する人だ ]と開発者の金子氏自ら指摘しているように、
・ Winnyがウイルスみたいな記載だが、そうじゃない。
・ P2Pソフトは、Winnyだけじゃない。
・ ツール自体に罪はない(刃物だって、悪用すれば...)
といったことには、すべて同意です。情報流出をWinnyのせいにするのは、違うんじゃないの??、と誰もが思いますよねえ。
特に、このWinnyにはなんの罪もないんですけど(笑)。まあ、冗談はさておき。

まあ、Macユーザとしてはそもそも関係ないし、そもそもWinnyを入れる目的自体が不純(であることが大半のケース)ですから、あくまでも他人事のように見ている私ですが、

そもそも、自宅私物パソコンにWinnyを入れてる/入れてないの前に、

● 勤務先に私物のパソコンを持ち込んで仕事させることが問題。
パソコンが足らない、なんてのは、勤務先(役所・会社)のいいわけにしかすぎません。防衛庁の件は、...その手の機密を扱う役所で公務パソコンが足りないってんでは、まさにトホホですね。

● 業務データを、勤務先から持ち出せるようになっていること自体が問題。
持ち帰れなければ、自宅で仕事ができないって。自宅で仕事しないとならない状態って、労務上問題ないのかしらん。
あるいは、Winnyが入ってなくたって、持ち出せるようになっているなら、悪意の流出(情報を売る、とか)を防ぐことは出来ません。

うちの勤務先では、電子データはすべて持ち出せなくなっています。データは、サーバセンターにあり、ローカルからUSBメモリや外付メディアに逃がすこともできません。
個々のOfficeファイルは、セキュリティレベルに応じて、コピー・印刷・メール送信などができないよう管理されています。
パソコンごと持ち出したとしても、スタンドアローンでは起動できません。
オフィス外で仕事する場合には、モバイルパソコンからリモートアクセスします(含 海外から)。

これならば、たとえ私物のパソコンにWinnyを入れていても、勤務先の業務データは絶対に流出しません。なにしろ、業務データを私物パソコンに持ってゆくこと自体ができないんですから。

とまあ、こんなことはいまや現実に可能なのですから、情報流出をWinnyのせいにするのは、役所・企業など管理者側の怠慢を棚に上げた、議論のすり替えです。自動車事故を防ぐには、自動車を使わないことではなく、総合交通安全施策を執ることですよね。

[ 前の日 ]   [ Mac.una Matata !!トップページ ]   [ 次の日 ]

この記事のURL: http://www.macdtv.com/Macunamatata/Articles/20060315/index.html