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2003.06.15 CitiDISK DV

CitiDisk DVは、DVカメラに接続するとDVデッキのように振る舞い、MacにつなぐとFireWire HDDのように振る舞う、という製品です。類似の製品としては、すでにMacDTVソフトウェア関連情報でご紹介したDV MasStorなどがあり、総じてDV HDDなどと呼ばれます。

DV HDDの利点は、Mac+DTVソフトを使った「DVキャプチャー」工程が不要になる(=時間短縮、およびキャプチャー作業時のMac占有をなくすことが出来る等)点にありますが----ただしこの点については「宣伝文句どおりとは限らないことも多い...(笑)----、CitiDisk DVの場合、さらに、可搬性がよい(小サイズ、バッテリ内蔵)、比較的安価(同種製品に比して)、といった特徴もあります。

今回Amulet社のモニタに応募しまして、実際のところを確かめてみました。

ではまず...。
CitiDisk DVのFireWire端子(6ピン)とDVカメラのDV端子(4ピン)を接続し、DVカメラからDV信号を送出、CitiDisk DVの[Rec]ボタンを押すと、録画が始まります。
録画が終了したら、CitiDisk DVをMacのFireWire端子に接続し直します。デスクトップにマウントされて準備完了。このボリュームは、FAT32(Windowsの標準HDDフォーマットのひとつ)でフォーマットされており、なかにある[Movie]フォルダの[Media]フォルダ内に、録画したDVデータファイル(DVストリーム形式)が連番形式で保存されています。

CitiDisk DVはDVストリーム形式で録画するので、基本的にiMovieとは相性がいいです。iMovieプロジェクトファイルの[Media]フォルダ内に、コピーするだけです。ファイルフォーマット変換は必要でないので、この操作だけですぐ使うことが出来ます。
一方Final Cut Proの場合、ネイティブのファイルフォーマットはQuickTimeムービーなので、DVストリームからのフォーマット変換が必要です。ただ、DVストリームから「DV Codecを使用したQuickTimeムービー」に変換する必要はなく、Final Cut Pro上でオーディオレンダリングをするだけです。

さて、前述のように、CitiDisk DV(などのDV HDD)のウリは「DVキャプチャー工程が不要」という点にあるのですが、実際的な使い方を想定した場合、疑問点が残ります。DV MasStorの場合もそうですが、この手のDV HDDの場合、[Finderコピーに要する時間]+[オーディオレンダリングに要する時間]が掛かってしまいます。したがって、これらの[合計時間]が[DVキャプチャーに要する実時間]よりも有意に短いか、という点がポイントになります。そこで、1.7GB(約8分)のDVストリームデータをFinal Cut Proで編集スタンバイOKの状態に持ってくるまでの時間を比較してみます。

やりかたとしては、

(1) 普通のやりかたで「DVキャプチャー」する。この場合の処理時間は、実時間の1倍(5分のシーンなら5分かかる)となりますね。
(2) CitiDisk DVからMac内蔵HDDにFinderコピーした後、Final Cut Proでオーディオレンダリング
(3) (CitiDisk DVからMac内蔵HDDにはFinderコピーぜず)CitiDisk DV上のファイルを直接Final Cut Proで読み込んで、オーディオレンダリング(この場合、オーディオレンダーファイルはMac内蔵HDDに置くことにします)

の3とおりのやりかたがありますね。それぞれをPowerMac G4 1.25GHz Dual(Mirrored Drive Door)、PowerMac G4 733MHz(Digital Audios)でテストしてみます。結果は次のとおり。

マシン環境
1.25GB Dual
733MHz Single
733MHz Single
DVキャプチャー
工程
Finderコピー
01m35s
Finderコピー
01m45s
Finderコピーを行わず、オーディオレンダリング
05m33s
08m33s
オーディオレンダリング
01m01s
オーディオレンダリング
03m56s
合計時間
02m36s
05m41s
05m33s
08m33s
実時間比
0.42倍
0.67倍
0.65倍
(1倍)

ちなみにDV MasStorの場合、Finderコピーに要する時間は実時間の0.73倍1)でした。実際の使用ではFinderコピーの他にさらにオーディオレンダリング処理が必要なわけですから、こうなると「DV MasStorだとDVキャプチャー実時間以上の前処理(Finderコピー+オーディオレンダリング)が必要」となってしまい、なんのこっちゃ(笑)、という状態でした。
ところが、CitiDisk DVの場合、Finderコピーに要する時間は実時間の0.13倍2)で済みます。ですから、これにオーディオレンダリング処理時間を加えても、DVキャプチャー実時間よりも短い所用時間(上記の例では、0.42〜0.67倍)でFinal Cut Proで編集スタンバイOKの状態に持ってくることができます。この点は、思いの外すばらしい性能ですね。

1) 09m52s26f(2GB)のデータファイルの場合、コピーに要する時間は07m16s。
2) 08m33s(1.71GB)のデータファイルの場合、コピーに要する時間は01m45s。

MacDTV.forum(掲示板&メーリングリスト)4月末〜5月上旬の議論で、CitiDisk DVのFinderコピー性能がひとつのカギ、と書きましたが、それはこういう意味だったんですね。そして、結果は思いの外良好、といえます。

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