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2002.07.19 QuickTime 6 MPEG-2 再生コンポーネント

昨日登場したQuickTime 6 MPEG-2 再生コンポーネント(2002.07.18 QuickTime 6 MPEG-2 再生コンポーネント、登場)ですが、

アップルストアのQuickTime 6 MPEG-2 再生コンポーネント(Mac OS X) -ご注意-のページを見てみましょう。

MPEG-2ストリームデータの読み込み、再生

対応しているMPEG-2ストリームデータは、MPEG-2エレメンタリーストリームと、MPEG-2プログラムストリームです。
MPEG-2エレメンタリーストリームは、オーディオがDemuxedされた(分離してとりのぞかれた)MPEG-2ビデオ(*.m2vなどが一般的)のこと。MPEG-2プログラムストリームは、オーディオとビデオがMultiplex化(多重化)されたもの。

両者の使われ方には、こんな特徴があります。
例えば、DVD-Videoの制作過程では、MPEG-2エレメンタリーストリームを使います。ビデオとオーディオ情報が分離していた方が、オーサリング時の自由度がたかいですものね。
また、例えば、MPEG-2でビデオキャプチャーする場合、(そのMPEGキャプチャー機器以外で使えるか使えないかは別にして)HDD内に取り込まれるMPEGデータファイルは、MPEG-2プログラムストリームです。

まあ、なんにしても、QuickTime 6 MPEG-2 再生コンポーネントは、MPEG-2エレメンタリーストリームとMPEG-2プログラムストリーム、両方のMPEG-2ストリームデータの読み込み、再生に対応しているわけですね。

ファイル書き出し、フォーマット変換

アップルストアのQuickTime 6 MPEG-2 再生コンポーネント(Mac OS X) -ご注意-のページをMPEG-2エレメンタリーストリームをQuickTime Proで読み込み、MPEG-4、QuickTimeムービー等の他のフォーマットで書き出すことも可能、と記載されています。ここで注意したいのは、エレメンタリーストリームのMPEG-2ファイル、MPEGビデオ、と書かれていることです。つまり、上記の記述は、MPEGビデオを他のビデオフォーマットへの変換は可能とはいっていますが、MPEG-2プログラムストリーム(ビデオ+オーディオデータ)を他の「ビデオ+オーディオ」フォーマットへの変換が可能と明記している訳ではない、ということです。

実際、これと似た事例では、よく知られているようにQuickTime 5のMPEG-1対応でも、QuickTime Player ProでMPEG-1プログラムストリーム(ビデオ+オーディオデータ付きのMPEG-1)をQuickTimeムービーに変換すると、オーディオデータが失われてしまいます。

市販のDVD-Videoに含まれるMPEG-2データは再生できない

市販のDVD-Videoに含まれるMPEG-2データは、Disc内の[Video_TS]フォルダ内に収納されています。ということは、これらのデータをファイルコピーしてきて、QuickTime 6 MPEG-2 再生コンポーネントを使えば、DVD-Videoがなくてもその作品をみることができる...、と考えた方、残念でした。DVD-Videoには、CSSというコピー防止措置が施されているので、できません。また、コピー防止措置を外す行為は、(家庭内で楽しむ場合であろうとなかろうと)明確な著作権法違反となります。この辺の議論は、こちらをご参照下さい

トランスポートストリームには対応していない

MPEG-2トランスポートストリーム(MPEG-2 TS)には対応していません。

MPEG-2 TSはビデオデータとオーディオデータを独立して時間軸管理されている、的な説明がアップルストアのQuickTime 6 MPEG-2 再生コンポーネント(Mac OS X) -ご注意-のページになされています。そんな側面もあるのでしょうが、こんな風に説明すると、わかりやすいでしょうか。

DVD-VideoのMPEG-2は、プログラムストリームMPEG-2(MPEG-2 PS)です。DVD-Video Palyer内では、DVD-Video Disc上の信号を光で読みとり、MPEGデコーダに通す、といった処理がなされています。この処理では、MPEG-2のデータはただ一種類だけが常時流れています。MPEG-2 PSデータ、1本分だけが流れています。

ところが、インターネットやLAN経由でMPEG-2データを流したり、衛星からのデジタル放送、AV機器(BS機器やMPEGレコーダなど)のデジタル転送、といったケースの場合、ひとつのストリームの中に複数の「番組」が同居させた方が都合がいいですこういったケースに使うデータ形式がMPEG-2 TSと理解すればよいでしょう。
つまり、MPEG-2 TSの中には、複数のMPEG-2 PS(複数のプログラム="番組")がふくまれている、といったイメージです。実際、こうすることで、テレビ放送に使える、プログラム編成の自由度が増す、スクランブル放送などにも利用できる、といった具体的なメリットが生まれます。

といった特徴を持つMPEG-2 TSですが、残念ながら、QuickTime 6 MPEG-2 再生コンポーネントでは再生できない、ということですね。

   

   

   

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