DV CinemaGearの最大の特徴は,ハードウェアDV Codecを搭載していることですから,おそらく,レンダリング速度の向上はどれくらいか,お知りになりたい方がほとんどでしょう。もちろん,わたしもそうです。
で,早速ベンチマークを取ってみました。
それをお読み頂く前に,まずこちらをお読み下さい。
Hardware DV Codecは,もともと,レンダリング全体を高速化するものではないことはご承知のとおりです。
レンダリング(Movieの作成)のプロセスをみると
1. 伸 長 DV圧縮されたQuickTime Movieファイルを伸長します。 ↓↓
2. エフェクト計算 エフェクト計算(ワイプ,オーバーラップ,スーパーインポーズなどなど)など,多画面を合成演算します。 ↓↓
3. 再圧縮 再圧縮します。 の,3プロセスからなりますが,
このうち,圧倒的に処理が重いのが,2.エフェクト計算で,実は1.伸長と3.再圧縮は,相対的にみれば重い処理ではありません。いうまでもなく,Hardware DV Codecは,1.伸長と3.再圧縮とを高速化するものなので,レンダリング全体を高速化するものではありません。
2.エフェクト計算を高速化するには,CPUの性能を上げることが効果的ではありますが,
抜本的には,DSP
(Digital Signal Processor)を使用すること,すなわち,DSPが搭載されているレンダリングアクセラレータカードを利用すること,が一番です。
CPUはあくまで汎用プロセッサですが,
DSPはその名の通り,Digital Signalに特化したプロセッサなので,威力を発揮します。汎用ではないので数が出ず,高価なのがたまにきず(笑)。
ともかく,2.エフェクト計算の向上はもともと期待できないため,今回のベンチマークはエフェクトをかけないで,再圧縮のみ,という方法を取りました。
すなわち,効果の期待できる1.伸長と3.再圧縮にフォーカスを当てて,Hardware DV Codecの真価をはっきり明らかにしよう,というねらいです。
(方法)
1. ハードウェア環境
CPU
604/132MHz(2nd Cache有),
604e/225MHz(2nd Cache無),
750/266MHz(2nd Cache無,BackSide cache On),
の3種類のCPUカードを比較しています。HDD
Movieを置いておくHDDは,IBM39190N(Ultra Narrow SCSI,7200rpm)
(このHDDのベンチマークは,別途ご紹介します)AHA-8945のSCSI端子とWide-Narrow変換コネクタを介して接続。
なお,このような接続で,DV CinemaGearを使用した場合にトラブルが発生しないことはすでに確認しています。
2. ソフトウェア環境
MacOSは,8.0J。
DTV用にシステムを軽くしたもの。
各種設定は,DTVで常識とされているもの。QuickTimeは,3.0J。
4つのシステムフォルダを作り,それぞれに,Apple DV-NTSC,Adaptec DV(Ver. 1.4),Radius DV,DV CinemaGear関連ファイルをインストールします。
Premiere4.2.2Jを使用
再圧縮操作はPremiere4.2Jで実施しました。
すなわち,QuickTimeムービー形式で,ムービー作成を実行します。なお,Premiereへは100MBのメモリ割り当ててあります。
(結果)


この結果をごらんになるとお判りの通り,
Hardware Codecによる効果は,確かにあります。
なぜ,こんなことをいうと,ビデオサロン98年9月号96ページに掲載されたDV Rexの例だと,高速CPUを使用するにつれて,なんとHardwareCodecを搭載しているのに!!,SoftwareCodecに追いつかれています。
DV CinemaGearでは,こんな無様なことはありません。より高速なCPUを使用すると,Software Codecとの差は縮まってきますが,それでも,追い越されることはありません。
604/132,604e/255,750/266をお示ししましたが750/266使用時でもDV CinemaGearの方が高速ですね。特に,低速のCPUを利用する場合,DV CinemaGearの効果が,はっきり認められ,Software DV Codecに比べて,約1.5倍の高速化されています。
しかし,高速CPUを使用するにつれ,DV CinemaGearの優位性は,徐々に薄れてきます。604e/255,750/266の場合,Software DV Codecに比べて,約1.2倍です。
ということで,DVCodecの性能に純粋に検証するため,「再圧縮」性能を見たのですが,これは,ある意味で最もDV CinemaGearにとって都合のいいケースです。
つまり,実際のレンダリングの際には,エフェクト処理がかかる分,高速CPUの効果が発揮され,結果として,SoftwareとHardwareの差が小さくなってくるはずです。DV CinemaGearの場合,Hardware Codecによる効果は,確かにあります。しかしながら,高速化の程度は,(残念ながら)圧倒的とはいえません。
ですから,再圧縮処理だけの能力をみても,優位性は圧倒的とはいえないのですから,実際のエフェクトレンダリングでは,DV CinemaGearとSoftware Codecとの処理時間の差は,微々たるものになります。残念ですが...。
これでは,納得いかない方もおられるでしょうから(特に,既に購入された方,注文された方など...),
耳寄り(になるかもしれない)情報をひとつ...。
現バージョン(DV CinemaGear Ver.1.0〜1.1a)においては,再圧縮はソフトウェア処理をしているのです。
つまり,現行バージョンにおいては,再圧縮の際には,Hardware DV Codecではなく,QuickTime DV-NTSCを使っているそうです。そういった意味で,現行バージョンでは,Hardware DV Codecの能力を充分に引き出し切れているわけではなく,
再圧縮工程におけるHardwareCodecの利用,伸張工程での最適化など,実際のところ,改善の余地が,まだまだ大いにあるようです。